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CCPM - 約束したスケジュールを確実に達成するプロジェクト管理手法

プロジェクトマネジメント

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どんなプロジェクトにおいても、スケジュールは重要な制約条件のひとつです。

約束したスケジュールを確実に守るために様々なリスクをコントロールしていくことがプロジェクトマネージャーの責任です。

スケジュールを左右するリスクはたくさんありますが、そのうちのひとつがプロジェクトメンバーの生産性です。

予定していた作業日数で作業を終わらせてもらうために、プロジェクト管理の視点でどのようなアプローチをとったらよいでしょうか?

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各作業にバッファを設けてもプロジェクトは遅延する

約束したスケジュールを確実に守るためにまず思いつくのは、プロジェクトの各タスクに対してバッファを設けることです。

▼こんな感じ▼

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これなら確実にスケジュールを守れそうな気もしますが、このようなスケジューリングには大きな落とし穴があります。

 

落とし穴1.プロジェクト期間が間延びする

上記のようなスケジューリングは、各タスクにバッファを用意しているため、目標となる工期と約束するスケジュールにかなりの開きが出てしまいます。

もちろん約束したスケジュールを確実に達成するのはプロジェクトマネージャーの責務ではあるのですが、一方でいかに早くプロジェクトを完了させるかもプロジェクトマネージャーの腕の見せ所です。

これでは余裕を持ちすぎたスケジュールとなってしまい、リリースが必要以上に遅くなってしまいます。

 

落とし穴2.プロジェクトメンバー間に不公平感が出る

さらに、このようなスケジュール管理手法を採用した場合、主にクリティカルパス上のタスクを管理します。

クリティカルパス上のタスクにもそれぞれバッファを設けているので、そこまでメンバーのプレッシャーになることはないかもしれません。

しかし、クリティカルパス上にないタスクを担当している人と比べると、やはりクリティカルパス上のタスクを担当しているメンバーへのプロジェクトマネージャーの態度は厳しくなりがちです。

こういったことから不公平感が生まれてしまうと、チーム全体の雰囲気が悪化してしまいます。

 

落とし穴3.そもそも、リスクがあまり減っていない

なにより根本的な問題は、いくらバッファをとったところでリスクがあまり減っていないことです。

これには人間の2つの行動特性が大きく関係しています。

 

・作業着手を遅らせる「学生症候群」(Student syndrome)

日程に余裕があるときに、日程の余裕がなくなるまで作業着手を遅らせる傾向を、学生症候群と呼びます。

夏休みに宿題を課せられた学生が、休みが終わるギリギリまで宿題に着手しないシーンは容易に想像ができると思います。

これは学生に限らず仕事でもよく見られる傾向です。

 

・作業期間を間延びさせる「パーキンソンの法則」(Parkinson’s law)

イギリスの政治学者シリル・ノースコート・パーキンソンが提唱した法則で、完了しなければならないその日まで作業が行われるという性質です。

ダラダラ作業をしてしまったり、必要以上に細部にこだわってしまったり、完了基準が曖昧なためいつまでも作業をしてしまったりと、要因は様々ですが、早めに作業を切り上げられない行動特性をいいます。

 

このような人間の性質によって、タスクごとのバッファは見事に食いつぶされ、結局はギリギリのスケジュールでプロジェクトを進行させることになるのです。

 

落とし穴4.だからと言って、メンバーにバッファを伝えないとマネージャーの不信感を生む

学生症候群やパーキンソンの法則を回避するために、バッファの存在をメンバーに伝えずに作業してもらうのもひとつの方法です。

しかし、頑張って終わらせたのに実はバッファがあったことがメンバーに知れたときのマネージャーへの不信感は相当なものです。

そのようなことが続くと、「このマネージャーは本音を話してくれない」と思われて信頼を失ったり、「どうせ余裕があるから多少遅れてもいいだろう」という甘えが生まれてしまったりします。

 

これらを克服するのがCCPMという管理手法

CCPM(Critical Chain Project Management/クリティカル・チェーン・プロジェクト・マネジメント)とは、イスラエルの物理学者であるエリヤフ・ゴールドラット博士が提唱した管理手法で、PMBOKにも記載があります。

ゴールドラット博士の名著「クリティカルチェーン」の中で紹介されたことで世の中に広く広まりました。

 

CCPMでは、タスクごとにバッファをとるのではなく、全タスクの後ろでまとめてバッファをとります。

▼こんな感じ▼

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このようにスケジューリングするとそれぞれのタスクにはバッファがなくなり、学生症候群やパーキンソンの法則を防ぐことができます。

もちろん作業が遅れてしまうこともありますが、全体のバッファで調整します。

全体のバッファは、個人の作業バッファに比べて「使わないようにしよう」という意識がプロジェクトメンバーに働きやすいメリットがあります。

バッファの存在をメンバー隠す必要がなくなるので、チームの信頼関係も向上します。

 

用意すべきバッファは(HBP-ABP)×0.5

では、どの程度バッファを設ければよいでしょうか? 具体的なバッファ計算例として、以下の考え方をご紹介します。

 

1. 各タスクのABP(Aggressive but Possible/目標スケジュール)を見積もる

ABPとは、何とか達成できそうなギリギリのスケジュールのことを言います。

あくまで一般論ですが、この観点で出した見積もりは50%の確率で達成されると言われています。

 

2. 各タスクのHBP(Highly Possible/確実なスケジュール)を見積もる

HBPとは、余裕をもって立てた確実なスケジュールで、バッファが含まれたものです。

 

3.(全タスクのHBPの合計-全タスクのABPの合計)×0.5=用意すべきバッファ

ABPが50%の確率で達成されるとすれば、全体でまとめたバッファのうち半分のスケジュールを確保しておけばよいことになります。

これによって、各タスクにバッファを設けるよりも短い期間でプロジェクトが完了する目途が立てられ、前図のように間延びしないスケジュールになります。

 

もちろん50%というのは一般論に過ぎません。 実際はアサインされているプロジェクトメンバーの過去の実績などを参考に恣意的に設定します。

バッファをどの程度を取るかはプロジェクトマネージャーのさじ加減です。

日ごろからプロジェクトの作業データを蓄積したり、メンバーの生産性をウォッチしたりして経験を積んで、過不足のないバッファ設定ができるようになりましょう。

 

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